グルテンフリーとは、小麦粉などグルテンを含む食品を避ける食事方法のこと。海外でも注目され、健康や美容のために行う人が増えています。実践したい人向けにメリットやおすすめ食材、無理せず続けるコツを解説します。
目次
そもそもグルテンフリーとは?
グルテンフリーとは、「グルテンを含まない食品や食事方法」のことです。もともとは、セリアック病患者さん向けの食事でしたが、最近は健康的な食事として実践する人が増えており、世界的な食のトレンドの一つとなっています。
グルテンとは、小麦やライ麦・大麦などの穀物から作られるタンパク質のことです。麦のなかに含まれる「グリアジン」と「グルテニン」という二種類のタンパク質が水を加えて捏ねることで互いに絡み合い、粘り気や弾力のある性質に変わることで作られます。
グルテンは、うどんやパスタ・パン・ラーメンなどのモチモチッとした食感の素になっているのです。
グルテンフリーが注目されている理由
小麦食が中心の欧米では、日本に比べてセリアック病が深刻なため早い段階でグルテンフリーに注目されていました。
各国でグルテンフリーの定義が定められ、認証機関もあります。
近年では、セレブやスポーツ選手が「グルテンフリーな食生活によって体調が良くなった」と発信したことで、健康や美容に関心の高い人々にもグルテンフリーが注目されるようになりました。
特にアメリカではグルテンフリーダイエットを実践する人が増加し、グルテンフリーの飲食店も増えてきています。
世界のグルテンフリー市場は欧米を中心に拡大していて、市場調査会社のユーロモニターインターナショナルによると、2024年には約100億USドルに達する見込みだと言われています。
その影響は日本にも及び、メディアでもグルテンフリーを取り上げる機会が増えました。
グルテンフリーについて詳しい内容までは知らなくても、1度は耳にしたことがあるという人も多いのではないでしょうか。
グルテンを避けた方が良い理由について
グルテンを含む食品にはおいしいものが多いですが、グルテンを摂取することで健康を害する場合もあります。グルテンを避けた方が良い理由について見ていきましょう。
グルテンには中毒性がある
パンやパスタ・クッキーといったグルテンを含む食品を食べ過ぎてしまうことはありませんか?グルテンには、「グリアジン」というタンパク質が含まれており、脳内の食欲を司る神経を刺激して「もっと食べたい!」という中毒性を生み出す働きがあります。
グルテンを含む食品を食べ過ぎると、グルテンを欲する欲求が次から次へと出てくるため、食べ過ぎてしまうのです。
グルテンが「リーキーガット」の原因に
リーキーガットの原因の一つにグルテンの摂取が挙げられます。
リーキーガットとは、腸壁を作る細胞と細胞の間に隙間ができて、腸のバリア機能が破綻してしまう現象です。本来腸内にあるべきものが、腸壁をすり抜けて腸の外に出て行ってしまいます。その結果、腸内では無害に存在する食物成分ですが、腸の外では異物と捉えられ抗体が作られるため、食物アレルギーの原因になるのです。また、腸内細菌が腸の外へ漏れ出すと、免疫系に異物として認識され攻撃を受けるため炎症を引き起こします。この状態が慢性的に続くと糖尿病や認知症の進行を促進すると言われているのです。
グルテンが「セリアック病」の原因に
グルテンに対して異常な免疫反応を引き起こしてしまう病気もあります。それが、近年アメリカで急増している「セリアック病」です。なんとアメリカでは100人に1人がセリアック病を発症しています。
セリアック病とは、グルテンに対して自己免疫反応を引き起こし慢性的な小腸の炎症を引き起こす病気のことです。グルテンを摂取することで炎症を引き起こす細胞や抗体が刺激されて、栄養を吸収する役割をもつ小腸の突起を傷つけてしまいます。そのため、セリアック病患者がグルテンを摂取し続けると栄養の吸収が不足し、深刻な健康障害を引き起こすのです。
セリアック病には治療法がなく、唯一の改善策として「グルテンフリー」の食生活を送ることが推奨されています。セリアック病患者は、グルテンフリーの食事を心がけることで健康リスクを軽減できると考えられているのです。
グルテンフリーのメリットとデメリット
【グルテンフリーのメリット】
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グルテンフリーはセリアック病患者さん向けの食事法のため、健康な人がグルテンフリーを実践する効果について科学的な根拠はありません。
ただし、グルテンを避けると自然に和食中心の食生活になり「腸内環境が整う」「砂糖や油脂を控える」「血糖値の上昇を抑える」などによる効果で、体調の変化を実感する人もいます。
【グルテンフリーのデメリット】
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グルテンフリーで小麦の摂取を避けることで、小麦に含まれる食物繊維が不足しがちになります。
グルテンフリーを実践する時は、豆類やきのこ類など他の食品から食物繊維を摂取するよう意識しましょう。
また、実はグルテンが含まれている食品は多いです。
パンなど明らかに小麦を使われている食品はもちろん、つなぎとして小麦を使用している食品や、調味料などにも小麦が含まれているケースもあります。
普段の食事の中でグルテンを完全に制限しようとすると、食べられるものがかなり限られてしまうでしょう。
グルテンが含まれている食品の具体例は、次の項目で紹介します。
グルテンフリー生活で避けた方が良い食品
グルテンフリー生活で避けた方が良い食品の例を、表にまとめました。
赤字で示したものは、グルテンフリー生活では特に注意が必要です。
【グルテンフリーのデメリット】
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冒頭で説明した通り、グルテンとは小麦やライ麦・大麦などの穀物から作られるタンパク質のことです
そのため、麦を使った食品はグルテンフリー生活では避けた方が良いでしょう。
なお、小麦粉は種類によってグルテンの量も変わります。
グルテンの量が多い順に、強力粉→中力粉→薄力粉となります。
硬質小麦という粒の硬い小麦から作られた強力粉は、グルテンの量が多いため粘り気も強くなります。
表の中で赤字で示したパンやパスタなどは、主に強力粉が使われるためグルテンの量も多いです。
また、見落としがちなのがルウや調味料です。
ケーキやうどんなど明らかに小麦を使っていることが分かる食品の他に、実は小麦粉が使われている「隠れグルテン食品」があることも知っておくと良いでしょう。
グルテンフリーの食品はコレ!
身の回りにおいしい小麦食品が数多くあるなかで、グルテンフリーな食生活に変えていくのはとても難しいと感じる人が多いかもしれません。しかし、最近はグルテンフリー食品のレパートリーが増えており、無理なくグルテンフリーの食事を実践することができます。どのような食品があるのか見ていきましょう。
米粉を使用した食品
グルテンを多く含む小麦の代わりに米粉を使用した食品が増えています。例えば、米粉を使用したパンミックス・ホットケーキミックス・てんぷら粉・お好み焼き粉などを使って手軽にグルテンフリーの粉もの料理を楽しむことができます。また、米粉を使用したパンやスイーツ・うどんやパスタ・ラーメンなども登場しています。そのほか、ベトナム料理でお馴染みの米粉を使用したフォーやビーフンといった麺もおすすめです。
令和元年度の農林水産省による調査では、日本における小麦の食糧自給率は16%に留まっていますが、お米の自給率はほぼ100%であり、日本人にとってお米は食糧安全保障の要となっています。お米を使った食品を積極的に食べることは、外国に頼らず自分の国で食糧を賄う力を高めることにもつながるのです。
十割そば
そばを食べるなら十割そばがおすすめです。のど越しがつるりとした一般的なそばは、二八そばと呼ばれ、そば粉8割に対して2割の小麦粉をつなぎとして混ぜて作られています。十割そばは、つなぎを使用せずにそば粉100%で作られているため、歯をあてるとすぐに切れてしまうのが特徴的です。
ビタミンB1やB2・カリウムやマグネシウム・鉄分などがほかの雑穀に比べてはるかに多く含まれています。また、そばに多く含まれる「ルチン」は毛細血管を強くして、血圧を下げる働きがあります。
大豆粉を使用した食品
小麦粉の代わりに大豆粉を使用した食品も登場しています。大豆粉とは、基本的には生の大豆を粉末状に挽いた粉であり加熱して使います。しかし、最近は低温で大豆を焙煎して加熱せずに使用できるタイプの大豆粉も登場しています。同じく大豆を原料に作られたきな粉と混同されがちですが、きな粉は、大豆を炒ってから粉末状に挽いた粉なので、香ばしい香りが付いています。それに対して、大豆粉は香りが抑えられており、小麦粉の代替として使うことができるので便利です。
小麦に比べて糖質が大幅にカットでき、食物繊維が豊富に含まれているので積極的に食事にとり入れるとよいでしょう。
食品名 | 糖質(g)/100g中 | 食物繊維(g)/100g中 |
---|---|---|
小麦粉(薄力粉) | 73.3 | 2.5 |
大豆(乾) | 8.0 | 21.5 |
参照:文部科学省「食品成分データベース」
無理せず続けられるグルテンフリー生活のポイント
すでに紹介した通り、グルテンを含む食品は数多くあります。
グルテンを使用した食品が身の回りにあふれる中で、グルテンフリー生活を続けるには少し工夫が必要です。
ここでは、無理せずグルテンフリー生活を続けるためのポイントを4つ紹介します。
- お米をメインに食べる
- 米粉を活用する
- グルテンのダメージを抑える食品を取り入れる
- 代用品を上手に使う
お米をメインに食べる
普段の食生活で、パンやパスタ・うどんなどの麺類を食べることは多くありませんか?
時間のない朝やランチでも手軽に食べられて便利ですが、グルテンを避けるなら控えるべき食品です。
グルテンフリー生活の第一歩として、まずは主食をお米に変えましょう。
いきなり全てお米に変えるのが難しいようであれば、たとえば「パンは休日の朝食だけにする」など簡単なルールを作ると続けやすいですよ。
お米を中心にした食事にすれば、汁、魚、肉、乳製品、野菜などさまざまな食材と組み合わせることができるので、栄養バランスも取りやすくなります。
米粉を活用する
「グルテンフリー生活を続けたいけど、おいしい食事を制限し続けるのはストレスになりそう」と不安に思う人には、米粉の活用がおすすめです。
小麦粉の代わりに米粉を使ったパンや麺は、グルテンフリーな上にもちっとした食感も楽しめます。
また、米粉は小麦粉よりも油の吸収率が低いため、揚げ物に米粉を使うことで油分のカットやサクサク感が長く続くといったメリットも。
グルテンのダメージを抑える食品を取り入れる
グルテンフリー生活を続ける中で、たまには小麦を使った食品を食べたくなることもあるでしょう。
外食や旅行先などで、どうしてもグルテンが避けられない状況もあるかもしれません。
そんな時は、グルテンのダメージを最小限に抑える「オメガ3脂肪酸」を摂取するのがおすすめです。
オメガ3脂肪酸であるEPA(イコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)には、抗炎症作用があります。
これにより、グルテンの摂取によって引き起こされた小腸の炎症を抑えてくれるのです。
EPAやDHAを含む食品には、次のようなものがあります。
【オメガ3脂肪酸(EPAやDHA)を含む食品】
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代用品を上手に使う
小麦粉の代用品は、米粉だけではありません。
すでに紹介した大豆粉をはじめ、片栗粉やコーンスターチ(とうもろこしが原料のでん粉)なども代用品として使えます。
こうした代用品は、粉だけでなくパンやスイーツなどの加工食品も豊富にあるので、日々の食事に手軽に取り入れることもできます。
グルテンフリーをはじめヴィーガンなど食事の方法が多様化している現在、代用品の種類も豊富になり、スーパーマーケットやネット通販などでも手に入りやすくなりました。
クオリティも高く、新しい食生活を始める人の強い味方となっています。
関連記事:ヴィーガン(ビーガン)とは?定義やベジタリアンとの違いについて
今注目の大豆ミートとは?
お肉の替わりに大豆のタンパク質を主原料として作られた「大豆ミート」ですが、実はグルテンフリーな食材としても注目されています。大豆タンパクは、お肉のタンパク質と同等のアミノ酸バランスを誇り、私たちの体を作る材料として効率よく利用することができるのです。
一方で、肉の代替食品として小麦のタンパク質を使用した「グルテンミート」という商品も登場していますが、グルテンが含まれているうえにアミノ酸のバランスが大豆に劣ってしまいます。
前述したように、大豆は小麦に比べて糖質は少なく食物繊維は多い点も健康に嬉しいポイントです。ヘルシーな食材選びの一つとして、動物性食品よりも植物性食品を選ぶのであれば、グルテンフリーと優れたアミノ酸バランスを兼ね揃えた大豆ミートがよいでしょう。
まとめ
グルテンを含む食べ物はおいしいものが多いだけに、グルテンフリーな食生活は辛いと思われがちです。しかし、日本で古くから愛されてきた米やそば・大豆などを使用した食品にはグルテンが含まれておらず、これらを上手に利用することで無理なくグルテンフリーな食生活を送ることができます。最近は、これらを利用した美味しいグルテンフリー食品が多く登場しているので、試してみるとよいでしょう。
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